2月中旬。
ギガアジが釣れていると騒ぎになっていたのは2〜3週間ほど前の話。今年は特に大きいサイズのアジが釣れていて、尺は当たり前、ギガも連日のように釣れていた。
今年は特別釣れていたらしい。
さすがにもう釣れていないと思っていた。そんな折、アジングマイスターなかきよ氏から連絡が入る。
「最近あの場所行きましたか?」と。
行ってないです、と答え、想像ながら「もう前の勢いはないんじゃないですかね」とも付け加えた。
「そうだよねぇ」
とやり取りが終了した。
そして数日後。今年は暖冬だし、そろそろ稚鮎パターンの様子を見に南紀にでも行こうかなぁと考えていた時、再びなかきよ氏からラインが入る。画像付きで。
その画像には30後半の立派なアジと、25cm超のアジがずらっと並んでいた。彼の釣果ではなく、知り合いの釣果なのだとか。
そしてまだ釣れている事に驚いた。
次の土曜日に向かうらしい。であれば、僕も休みなのでと同行する事にした。
なかきよ氏は大阪から来るので、場所取りをするのは僕の仕事。夕まずめのゴールデンタイムに行ったのではまず場所は空いていないので、13時半にポイントへと向かう。
だけどこの日は土曜日。しかも天気こそ曇りだけど、無風で絶好の釣り日和。ポイントには無数の人が入り釣りを楽しんでいた。そして一番入りたいポイントを見ると...人は入っていない!いないが、僕らがキャストしたい場所へ飛ばしサビキをぶち込んでいる。
「これは...」
入ろうと思えば入れるけど、さすがに断りもなしに入るのは無礼というもの。一声かけるべき。だけど2人組で一人はたばこぷかぷかふかしながら釣りをしている強面のにーちゃん。外見で判断するのは良くないけど...正直断られそう...。
声をかけるべきか、諦めて別のポイントに入るか。そんな事を悩みながら周辺をぐるぐるしていると、なかきよ氏到着。事情を話すと、やはり少し困り顔。
だけどこのポイントに入れなかったらギガアジの可能性は格段に低くなる。どうせ諦めるなら一声かけて納得してから、別のポイントへ入ろう!
意を決して声をかける。
「あの〜、すみません。そこのポイントって入らせてもらうこと...できますか?」
めちゃくちゃ下手に申し訳なさそうに尋ねる。すると、
「全然いいですよ!入ってください!ただサビキの汁飛んだらごめんなさいね。」
めっちゃえぇ人やーーーーん!!
詳しく説明すると、彼らが釣りをしているのは防波堤の上でその下のテトラに僕らが入って釣りをさせてくれ、と頼んだかたち。彼らとしても、僕らがそこに入ると、キャストに気を遣わないといけなくなるので、人がいない方がいいのだけれど...快諾してくれた。
めちゃくちゃいい人で本当に助かった。。。
さっそくなかきよ氏と釣りを開始する。すると、一投目からバンバンヒットする!かなり活性が高い。釣れてくるサイズは25cmほど。通常ならば良型の部類だけど、ここでは小型。だけど何故かかなり引きが強い。尺アジ並に竿を絞ってくれる。
4・5匹掛けたところで、アタリが忽然となくなる。ここはそういうパターンがあるのは知っている。
アタリなくなりましたねー、と話していると突然、後ろから物凄い勢いでドラグが回転する音が聞こえてくる。
なんだなんだと後ろを振り返ると、ポイントに入れてくれたにーちゃんの竿が綺麗な弧を描いている。一人がサビキでアジを釣り、もう一人が飲ませを打ち込んでいたみたい。
ドラグの回転量から察するに、かなり大物なのは間違いない。思わず手を止めて、彼のやり取りに見入ってしまった。
巻いても巻いても、ドラグを出される。たぶん時間にしたらほんの数分の出来事なのだろうけど、早く魚を見たいという期待感が時間の流れを長く感じさせる。
そしてようやく魚が姿を見せた。
掛かっていたのはかなり大きなメジロ。これだけ鯵が釣れている状況なので、青物がいてもおかしくないとは思っていたけど、本当にいたとは。ポイントに入れてくれただけではなく、こんな素晴らしい釣果も見せてくれたにいちゃんに感謝である。外見が怖いとか言ってごめんなさい。
サイズはどうやら85cmだったみたい。2月にそのサイズのメジロが陸から釣れれば上出来でしょう。いやーいいもの見せてもらいました。
それはそうと、それから暫くアタリが遠いた時間が続く。もしかしたら青物が来て鯵がビビって喰わないんかもー、なんて冗談を言っていると、目の前をかなり大きなメジロが鯵を追っかけて、横切って行った。
マジか...。
どうやら鯵だけでなくブリ族も湧いているみたい。
それから少し経ったのち、なかきよ氏が再び鯵を釣り出す。さっきとは少しパターンが変わったみたい。ワームをボトムに着けて少ししゃくってアピールさせ喰わせるパターンだとか。
言われた通りやると本当にアタリが出るから驚き。こういう渋くなった時に引き出しの多さが物をいう。勉強になります!
ワームを着底させてしゃくり上げ、しようと思ったら鯵が掛かっていた。それもかなりサイズ。今日一番。これは獲りたい。
手前はテトラなのでそこに巻かれないように注意する。魚が寄ってきたら、少し強引に巻いてくる。無事魚を浮上させる事に成功。後はネットインのみ。なかきよ氏にお願いしてネットいn...してない!してないよ、なかきよ氏!どうやらネットイン寸前に魚が上手いこと身を逸らし、口に付いたフックをネットに移し替え、魚は悠々と逃げていったみたい。
なんと賢しい魚よ...。
まぁ足場が悪いし、逃げていってしまったものはしょうがない。気を取り直して、釣りを再開する。
陽が落ちてきて、空が少し暗くなる。それを待っていたかのように、小さい鯵がワームを喰ってくる。鯵のサイズが小さくなってきたら、終了の合図。
もう終わりですねー、と言うものの、風がなく非常にやりやすいのでなんとなく上がるタイミングを掴めず、釣りを続ける二人。
いよいよ釣れる鯵のサイズが10cm台まで落ちてきた。もう終わりか、と思っていた矢先。なかきよ氏が大物を掛ける!巧みなやり取りで魚をいなし、釣り上げた鯵はなんと41cmのギガアジ。普段なら完全に時合いが終了しているタイミングでのキャッチ。
おみごと!
そしてなかきよ氏が教えてくれた。今までボトムばかり狙っていたけど、どうやら表層にアジのいる層が変わったらしい。そしてこういう風にアクションするんだよ、とも教えてくれた。
素直な僕は言われた通り表層で、言われた通りのアクションをする。すると、すぐに魚は答えてくれた。
気持ちの良い程のバイト、掛けた瞬間に手元に伝わる重量感。間違いなくギガアジだ。
ギガアジだからと言って別段焦ることはなく、いつもより少し冷静に、要点だけ押さえてやり取りすれば、キャッチできる。
そして案の定手前に来てからの、突っ込み。これに耐え、なかきよ氏のネットインの手伝いもあり、無事にキャッチすることが出来た!
そしてネットに入ったアジの大きさを見て、驚いた。間違いなく自己更新記録の大きさ。最後の最後でこの出来事は嬉しすぎる!
テトラから落とさないように丁寧に血抜きをして、袋の中に入れて一安心。
この1匹を最後にいよいよ辺りが見えない暗さになってきたので、納竿とした。


正直最後の鯵は50cmいったかな、と思ったけど測ってみると、全然足らずの44cm。それでも自己記録更新だった。
この日はいつもと感じが違う日で、時合いが長く、またレンジをころころ変わる日だった。だけどもしかしたら、いつももう終わりと思っていただけで、実はまだ鯵はおり、キチンと狙えば出ていたのかもしれない。今日はそんな収穫もあった素晴らしい1日だった。

なかきよ氏の釣果。一番下の鯵は僕の44cmの鯵だけど、それ以外はなかきよ氏のもの。41・35・31と尺2本ギガ1本と素晴らしい釣果。またアジの数も多い。
この日はテクニックと経験の差が特に出た1日だった。
だけど、
投げれば誰でも釣れる釣りより、こういうテクニカルな釣りの方が釣った喜びは大きいものだなぁ。
日にち | 2月15日 |
場所 | 三重県 |
潮 | 小潮 |
時間 | 15時〜18時 |
【仕様タックル】
張りのあるロッド。操作感が好き。好みは分かれるかもしれません。
エステルライン。比重が重く風の強い日でもしっかり水に沈み、伸びが少ないので感度抜群。